海賊と呼ばれた男
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話題書、遅ればせながら読了。
読みたいとずっと思っていた作品でしたが、その前に「殉愛」騒動が勃発。「永遠のゼロ」を読んで以来、百田氏に高い好感をおぼえていたのだけど、「殉愛」のあまりの胡散臭さにそれが吹っ飛んでしまった。騒動のあと未亡人の言動の不整合、不都合な事が次々と明るみにでもまだ未亡人側の主張を丸呑み擁護、作品をノンフィクションとよびつづけ正当化、氏の親族や関係者を口汚く口撃する様は嫌悪しかなかった。それ以来、好きだった「永遠のゼロ」も、いつも視聴していた氏の外交や政治に対する主張もすべてが薄っぺらく感じてしまい、とてもとても残念に思っていた。
本を手に取るきっかけになったのは機内で、同作品の映画を観たこと。
壮大な話で演者の熱演は伝わるものの、正直面白くなかった。資産家らしい男性が主人公に大金を渡し会社を助けるシーンが、どうしてそこまでするのかもさっぱりわからず消化不良になった。なんの因果があってあの大金が彼に渡るのかを知りたくて、本を入手した。原作は、ただただ面白かった。氏のことだから脚色も多分にあるのだろう、しかし、とても感動的だった。国士である。司馬遼太郎の「竜馬が行く」を読んだときも、似た感動があった。なんと、濃い人生なのだろう、と。これほどにも大胆で勇敢で先見の明をもち情に厚い主人公が生涯愛した仙厓の絵がどのようなものか、気になって検索してみた。思いがけず愛らしい丸みのある画が現れ、なんだかおかしくなった。